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当主の聞き書き(9) [当主の聞き書き]



質)そのほかに?

答)かっての下男のひとりに腰が曲がって地を這うように歩いていた人がいた。

  90歳くらいまで生きていたかな。

  よく昔話を聞かせてくれたが、そのなかで、「おこしっつあん」(ご後室さん、未亡

   

    人)と呼んでいた人のことがある。

  多分、今も玄関に残っている「輿」に乗って嫁いできた人のことだったろう。この人は

  怖い人で まともに顔を見たことが無い。この人の前ではいつも顔を伏せていたが、使

  用人をぶとき「そちは」と呼ばれたという。

  

     おゆうさんといい、撫松(ぶしょう)夫人だった。

   おゆうさんの逸話で、こんな話がある。

  「こうりよくもん」(合力者?)と呼ばれた老人がいた。昔武士だったのだろうが年を

     取ってしまい、合力(無心)を頼みにいつも来ていた。おゆうさんが応対していたが、

    ある日、もらう額が少ないと不足を言ってごねていたので、豪気なおゆうさんは「不足

     ならもう来るな」と元武士を叱りつけた。


 丁度来かかった村相撲の大関を張った下男が、それを聞きつけて男のえりがみをつ

     かみ放りだして,二度と来させないようにしたという。

   剛毅なおゆうさんと日頃のこうりょくもんに不満を募らせていた忠義な下男の様子を

   伝える昔話だ。

     この話はよく聞かされた。

  (続く)